コラム

HOME 投稿 コラム 炭酸水を飲むと虫歯リスクが増える?歯を溶かすのは本当か徹底解説

炭酸水を飲むと虫歯リスクが増える?歯を溶かすのは本当か徹底解説

爽快感が楽しめる炭酸水は、健康効果や美容効果も期待できることから多くの人が愛飲しています。ですが「炭酸水を飲むと歯が溶ける」とも噂されているのはご存知でしょうか?この記事では、炭酸水が歯に与える影響と注意点について解説します。結論として、炭酸水が歯を溶かす可能性はゼロではありません。ですが、炭酸水の飲み方や炭酸飲料の選び方に注意すれば歯を守りながら飲むことが可能です。炭酸水による虫歯のリスクや安心して飲むためのポイントを詳しくまとめたので、炭酸水や炭酸飲料を普段から飲まれている方はぜひご覧ください。

そもそも炭酸水とは?

口の中でシュワシュワと弾ける感覚がある炭酸水はそもそもどのようなものかというと、二酸化炭素(炭酸ガス)が含まれた水です。「ソーダ水」と呼ばれることもあります。炭酸水には、
  • 天然炭酸水(天然ガスが含まれている地下水)
  • 人工炭酸水(飲用水に二酸化炭素を圧入したもの)
上記2種類に分けられ、日本で多く流通している炭酸水は人工炭酸水です。

炭酸水が人気の理由

爽快感がある炭酸水は近年愛好者が増えています。なぜかというと、炭酸水には様々な健康・美容効果が期待できるのです。炭酸水を飲むことで得られるメリットを、健康面、美容面から詳しく説明します。

疲労回復効果

人は疲れを感じると疲労物質を溜め込みますが、炭酸ガスが血管に入ると血中の二酸化炭素濃度が高くなり、沢山の酸素を運ぶために血行が良くなります。それにより疲労物質が尿で老廃物として排出されることから、疲労回復効果が期待できるのです。

肩こり・冷えの解消

肩こりや冷えの大きな原因は血行不良によるものです。先ほどお伝えしたように炭酸水には血行を促進する効果が期待できるので、肩こりや冷えの解消に繋がります。

腸内環境の改善

炭酸水に含まれる炭酸ガスは胃腸の血管を刺激し、胃腸が活性化されることから腸内環境が改善し、便秘解消に大きな効果が期待できます。便秘の原因の一つは水分不足とも言われているので、炭酸水を飲むことで便がやわらかくなり出やすくなるのです。

ダイエット効果

炭酸水を飲むと炭酸ガスが胃の中で膨らみ、食事の量を減らしても満腹感が得られるため、ダイエットにも最適です。ただし、炭酸水は胃を刺激して食欲増進にもつながる可能性があるので気を付けましょう。

美容効果

炭酸水には肌トラブルや老化の原因になる「活性酵素」を抑制する働きがあるため、美容・アンチエイジング効果も期待できます。また、血行が良くなり新陳代謝が活発になることで肌トラブルの改善につながるでしょう。

美髪効果

炭酸水は飲むだけではない有効な使い方もあります。炭酸には髪や毛穴の汚れを落としたり髪のキューティクルを引き締めたりする効果があるとも言われているため、「炭酸シャンプー」として髪や頭皮の洗浄に使われることもあるのです。

炭酸水を飲むと歯が溶ける?虫歯のリスクは?

健康面、美容面で様々な嬉しい効果が期待できる炭酸水ですが、「炭酸水を飲むと歯が溶ける」「虫歯になる」というマイナスイメージもあります。では、本当に炭酸水は歯を溶かすのでしょうか?炭酸水が歯に与える影響や虫歯のリスクについて説明します。

虫歯になって歯が溶ける危険性がある

炭酸飲料に含まれている糖質が原因で、歯が溶けるといわれています。ですから、
  • コーラ
  • サイダー
炭酸飲料によっても異なりますが、500mlのペットボトル1本分に含まれている糖分は、なんと10〜15個分も入っているといわれています。上記のような糖分が含まれている甘い炭酸飲料は虫歯のリスクがあり、虫歯によって歯が溶けてしまう可能性があるのです。

無糖の炭酸水でも歯が溶けるリスクがあるのは事実

歯は酸に弱く、中性に保たれている口の中に食べ物や飲み物が入ってくると酸性に傾きます。酸性度が強くなれば、口腔内の酸性度はpH5.5以下となり、エナメル質が溶け始めます。そのため、無糖の炭酸水でも酸の影響で歯が溶けてしまう可能性があり、虫歯のリスクを高めてしまうのです。

歯を溶かす食品は炭酸水だけでない

通常時の口の中はpH7.0程度の中性の状態です。炭酸水を飲むと一時的に酸性に傾きますが、そのような飲食物は炭酸水だけではありません。歯が溶けるリスクが高い食品・飲料は以下の通りです。
  • レモン・・・pH2.0程度
  • コーラ・・・pH2.0程度
  • 栄養ドリンク・・・pH3.0程度
  • グレープフルーツ・・・pH3.2程度
  • スポーツ飲料・・・pH3.5程度
  • ポン酢醤油・・・pH3.8程度
  • ビール・・・pH4.0〜5.0程度

酸蝕歯について

先ほど説明した、酸が原因で溶けてしまった歯のことを「酸蝕歯(さんしょくし)」と言い、虫歯や歯周病に続いて歯を失う可能性のある疾患です。炭酸水を好んで飲んでいるという方は酸蝕歯になる心配をされるかもしれませんが、炭酸水を飲んで口の中が酸性に傾いたとしても、基本的には唾液によって酸性度を中和できます。ですが、酸性度の強い炭酸水を過剰摂取すると、酸蝕歯になるリスクが高まってしまうのです。

酸蝕歯の主な症状

酸蝕歯は年代を問わず起こりやすい疾患です。酸蝕歯の特徴として、以下の症状が現れる場合があります。
  • 歯に艶がなくなる
  • 歯が黄ばむ
  • 歯に穴があく
  • 歯が染みる
  • 詰め物や被せ物が剥がれやすくなる
  • 歯の先端がギザギザになる
表面的な酸蝕歯の症状は詰め物で治すことも可能ですが、歯の溶け具合によっては神経をとる治療をしなければならなくなる場合もあるので気をつけましょう。

酸蝕歯によって歯が溶けると虫歯になりやすくなる

酸蝕歯は飲食物などに含まれる酸性の物質が歯を溶かしてできるものなので、虫歯菌が作り出す酸によって歯を溶かす虫歯とは違う疾患です。ですが、歯が溶けると以下のリスクが高まります。
  • 歯が染みやすい
  • 虫歯になりやすい
つまり、炭酸水で酸蝕歯を発症することで虫歯になりやすくなり、歯を溶かす速度が速くなってしまうのです。

フレーバーつき&カロリーゼロ飲料は歯が溶けやすい

フレーバーつきの炭酸水には注意が必要です。特に、レモンやオレンジなどの柑橘系のフレーバーの場合、クエン酸が加わることで酸性度が高くなっているため、炭酸水に比べると酸蝕歯になる危険性が高まります。また、「カロリーゼロ」と謳われている炭酸飲料に含まれている人工甘味料は口の中で虫歯菌が酸を作ることができないため、虫歯のリスクが減りますが、酸性の飲み物であることには変わりないので、飲むことによって歯が溶けるリスクがあるのです。

炭酸飲料を飲むときの注意点

炭酸水はたとえ無糖であっても歯が溶ける可能性があることをお話ししましたが、大切な歯を守るためにはどうしたら良いのでしょうか。炭酸飲料を飲む際に注意すべきポイントを紹介します。炭酸水がお好きな方は、上手に付き合っていくためにもぜひチェックしてください。

フレーバーつき・糖質を含む炭酸飲料を飲むのを控える

フレーバーつきの炭酸水は酸性度が強くなり酸蝕歯に、糖質を含む炭酸飲料は虫歯になる危険性がそれぞれ高くなります。健康な歯を守りたいのであれば控えた方が良いでしょう。ダイエットや美容・健康目的で飲む場合にはなるべく無糖の炭酸水を飲むようにしてください。

強炭酸飲料には注意する

強い酸性であればあるほど、歯が溶けるリスクが高くなりますが、市販の炭酸水は強炭酸のものが多いです。歯が溶けるのを心配する方は、微炭酸のものを選ぶか自宅で微炭酸飲料を作るのもおすすめです。重曹とクエン酸を混ぜて二酸化炭素を発生させ、水と合わせると簡単に炭酸水が完成します。ただし、クエン酸の入れ過ぎは酸性が強くなって歯が溶けやすくなるので注意しましょう。

水やお茶を飲む・うがいをする

炭酸水は口の中を酸性に傾けてしまうため、それを防ぐためにも炭酸水を飲んだらすぐに水やお茶を飲むかうがいをするようにしてください。うがいによって口の中に酸を長時間残さないようにすれば、歯が溶けるリスクを軽減できます。

食後にシュガーレスガムを噛む

ガムを噛むと唾液の分泌量が増えて口の中を中性にすることができるので、食後は糖分の入っていないシュガーレスガムを食べるのも有効です。唾液には、溶かされたエナメル質を修復し、歯の再石灰化を促す働きがあるので、虫歯や酸蝕歯になるリスクを抑えることができます。キシリトールは唾液の分泌を促したり、虫歯の進行を防いだりするので、キシリトールガムを噛むのがおすすめです。

炭酸水を口の中に溜めない

シュワシュワとした感覚が心地よくて、つい口の中に溜めてしまう人もいるかと思いますが、炭酸水を口にしばらく溜めてから飲む場合、炭酸水が歯に触れる時間が長くなるため、歯が溶けるリスクが高まります。ですから、飲み方を工夫してなるべく口の中に溜めないようにしましょう。

ストローを使って飲むのがおすすめ

ストローを使って炭酸飲料を飲めば、歯に接する時間を減らすことができます。フレーバーつきや糖分を含む炭酸飲料であっても、虫歯や酸蝕歯のリスクを軽減できるのでぜひ試してみてください。

寝る前に飲まない

就寝中は唾液の分泌量が少なくなります。そのため、寝る前に炭酸水を飲むと口の中が酸性に傾いてしまい、歯が溶けやすくなってしまうのです。口の中を中性に保つためにも、寝る前の炭酸水を飲むのは控えましょう。飲んでしまった場合はすぐに水などで口の中をゆすぐようにしてください。

頻繁に飲まない

口の中が酸性に傾いても、唾液の働きによって中性に戻されますが、炭酸水を続けて飲むと中性に戻る時間がなくなってしまうのです。その結果、歯が溶けるリスクが高まるので、出来るだけ継続して飲まないようにしましょう。また、間食が多くその度に炭酸水を飲むという人も歯が溶けやすくなるので、間食を減らすなどの工夫をするのがおすすめです。

飲んだ後すぐ歯磨きをしない

酸性の強いものを食べたり飲んだりした直後は、歯のエナメル質が柔らかくなっています。そのため、炭酸水を飲んですぐ歯磨きをしてしまうと、エナメル質が傷つけられ擦り減ってしまうのです。健康な歯を守るためにも、炭酸水を飲んだら30分〜1時間程度時間を置いてから歯磨きするようにしましょう。

定期的に歯医者に通う

日頃から炭酸水を飲んでいる方は虫歯や酸蝕歯が進行しているかもしれません。ですが、目視ではなかなか分かりづらいですよね。手遅れの状態にならないためにも、歯医者で定期的に検診を受けるのがおすすめです。歯の表面に異常がないかチェックしてもらえるうえに歯のクリーニングを行ってもらえるので、健康な歯を守ることができますよ。定期的に歯医者に通うことで、虫歯や酸蝕歯が見つかってもすぐに対処してもらえるので、進行を防ぐことができるでしょう。

歯が溶けるリスクを軽減させよう

炭酸水が歯に与える影響と注意点について解説しました。炭酸水には健康・美容の面から見ても嬉しい効果が期待できる一方で、酸性の飲み物のため、たとえ無糖の炭酸水であっても歯が溶けるリスクが少なからずあるのです。みなさんの大切な歯を虫歯や酸蝕歯から守るためにも、炭酸水を飲む際には以下の点を意識するようにしましょう。
  • フレーバーつき・糖質を含む炭酸飲料に注意する
  • 強炭酸飲料には注意する
  • 水やお茶を飲む・うがいをする
  • 寝る前に飲まない
  • 頻繁に飲まない
  • 飲んだ後すぐ歯磨きをしない
  • 定期的に歯医者に通う
飲むことで得られるメリットの多い炭酸水ですが、飲む際は少し注意して楽しんでください。