歯のインプラント治療のデメリット・メリット｜入れ歯・ブリッジと徹底比較

失った歯を補うための治療として「第三の歯」と呼ばれることもあるインプラント治療。機能性や審美性に優れているため、検討している方が多いのではないでしょうか。
しかし、インプラント治療に限らずどのような治療にもデメリット・メリットが存在します。どちらか一方ばかりに気を取られてしまうと、治療後に後悔することになるかもしれません。なかでもインプラント治療は、外科的な処置がともなうためデメリット・メリット双方をよく把握し、自分に合った適切な治療であるか医師とよく相談しながら決定することがとても大切です。
そこで今回は、インプラント治療のデメリット・メリットについて解説します。入れ歯やブリッジなど他の治療と比較した内容もまとめているため、インプラント治療を検討している方はぜひ参考にしてください。

インプラント治療とは？

インプラント治療は、歯茎を切開して顎の骨に人工歯根（インプラント体）を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。インプラント治療は、見える部分の人工歯（上部構造）と、それを支える人工歯根（インプラント体）から成り立ち、一般的な「差し歯」といわれる被せ物とは大きく異なります。

インプラント以外の治療法は？

インプラント治療以外にも歯を補う治療法として、入れ歯やブリッジが挙げられます。入れ歯は保険診療内で作成できるため費用を抑えられるメリットがありますが、強度や審美性にやや劣る側面があります。ブリッジはインプラント治療のような固定式の被せ物を装着して歯を補います。ただし、奥歯では金属の被せ物を使用するため審美性に劣る側面があります。

歯のインプラント治療のデメリット5つ

インプラント治療はほかの治療にはない機能性・審美性に優れた治療ですが、いくつかのデメリットが存在します。口内や身体全体の状態によってはデメリットが大きい場合もあるため、インプラント治療を受ける際は医師とよく相談してから決定するようにしましょう。
インプラント治療のデメリットには、以下のような5つが挙げられます。

• • 外科手術のリスクがある
• • 治療にかかる期間が長い
• • 保険が適用されず費用が高額になりがち
• • インプラントの周囲に炎症が起こる場合がある
• • 骨の量によっては治療ができないケースがある

では、それぞれ詳しく解説します。

①外科手術のリスクがある

インプラント治療は、局所麻酔下で行う外科手術です。歯茎を切開して顎の骨に穴を開け、そこへ人工歯根となるインプラント体を埋入するため、少なからず身体に負担がかかってしまいます。状況によっては治療が受けられないこともあり、基礎疾患がある場合や妊娠している場合などは事前に医師へ伝えよく相談する必要があるでしょう。しかし、手術中は麻酔により痛みを感じることはほとんどなく、手術後の痛みや違和感も数日で治まるため過度な心配は必要ありません。

②治療にかかる期間が長い

一般的な虫歯治療では一回の通院で治療が完了することもありますが、インプラント治療は最終的な人工歯が装着されるまで数ヶ月～1年ほどかかるケースがあります。埋入した人工歯根（インプラント体）が顎の骨としっかり癒着されるまで、待機期間を要するからです。また、インプラント治療以外にも、虫歯や歯周病治療、抜歯などが必要な場合は治療期間が長くなります。しっかりと医師の指示を守ることで、治療がスムーズに進むでしょう。

③保険が適用されず費用が高額になりがち

インプラント治療は健康保険が適用されない自由診療となるため、治療費の負担が大きくなりがちです。一般的な虫歯治療に比べると、治療費がかなり高額になるため誰でも受けられる治療ではないといえるでしょう。また、インプラント治療後も定期的なメンテナンスに通う必要があるため、治療後の通院費も把握した上で治療を検討しなくてはなりません。治療費の支払いで治療を踏みとどまっている場合は、経済的な負担を少なくできる方法がないか相談してみるとよいでしょう。

④インプラントの周囲に炎症が起こる場合がある

天然歯ではないインプラント治療は、顎の骨を溶かしてしまう「インプラント周囲炎」に感染するリスクがあります。天然歯の歯周病と似た病気で、進行するとインプラントが脱落することもあります。初期段階では自覚症状がなく、違和感を覚えたころにはすでに進行しているケースも少なくありません。そのため、インプラント治療後も定期的なメンテナンスが欠かせず、怠ってしまうとせっかくのインプラント治療を無駄にしてしまうこともあるでしょう。きちんと歯科医院でメンテナンスを受け、適切なケアを行っていれば正しく機能するインプラントを長く使うことができます。

⑤骨の量によっては治療ができないケースがある

顎の骨に人工歯根を埋入するため、顎の骨の量によっては治療を受けられないケースがあります。骨の厚みや高さ、密度が十分でないとインプラント体が安定せず、治療後に脱落する可能性が高くなるからです。骨粗しょう症の治療を受けている場合や、歯周病が進行して顎の骨が減っている場合は治療が難しくなるでしょう。ただし、骨造形術を受けることで治療が可能になるケースもあります。インプラント治療を希望する場合は医師へ相談してみましょう。

歯のインプラント治療のメリット5つ

インプラント治療はほかの治療にはない機能性・審美性に優れた治療ですが、いくつかのデメリットがあります。口や身体全体の状態によってはデメリットが大きい場合もあるため、インプラント治療を受ける際は医師とよく相談してから決定しましょう。
インプラント治療のメリットには、以下のような5つが挙げられます。

• • 自然な感覚で噛める
• • 見た目の違和感が少ない
• • 健康な歯に負担をかけにくい
• • 顎の骨が痩せにくくなる
• • 装置の寿命が長い

では、それぞれ詳しく解説します。

①自然な感覚で噛める

顎の骨に歯の根っことなるインプラント体を埋め込むため、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。入れ歯によく見られる「硬いものが噛み切れない」「入れ歯と歯茎の間に食べ物が詰まる」など不快な思いをすることはありません。インプラント体と顎の骨がしっかりと結合することで、強い力がかかっても十分に耐えられるからです。人工歯であってもしっかり食事を楽しみたい、自然な感覚で歯を補いたいと考えている方に向いている治療といえるでしょう。

②見た目の違和感が少ない

最終的に取り付ける人工歯には、セラミックやジルコニアなど審美性に優れた素材を使用します。保険適用の素材では、周囲の歯と色味が合わなかったり形が不自然になってしまったりと、見た目の違和感を覚えることがありました。

しかし、インプラント治療では自分の歯に馴染む色味や形を細かく調整して、人工歯を作成します。大きく口を開けても人工歯とは分からないほど、自然に馴染む口元が手に入るでしょう。

③健康な歯に負担をかけにくい

インプラント治療の最大のメリットといえるのは、残っている周囲の歯に負担をかけず治療を行える点です。入れ歯やブリッジでは、残っている歯を支えにして歯を補うため、健康な歯の寿命を縮めてしまうデメリットがあります。インプラント治療では、顎の骨を支えにするため周囲の歯に頼ることのない、独立した治療が可能です。残された歯の健康を守りながら失った部分を補うことで、口内全体の健康が長く維持されます。

④顎の骨が痩せにくくなる

天然歯の場合は、歯が抜け落ちて歯の根っこがなくなると、その部分の骨が必要なくなるため次第に痩せていってしまいます。入れ歯やブリッジでは、人工歯根がないため顎に刺激を与えられず、どんどん吸収されてしまうのです。一方のインプラント治療では、顎の骨に歯の根っことなる人工歯根（インプラント体）を埋め込むため、顎に刺激が与えられ骨が痩せてしまうのを防げます。

⑤装置の寿命が長い

保険診療の入れ歯はブラスチックでできているため劣化しやすく、その寿命は3～5年といわれています。合わなくなる度に新しいものに作り替える必要があるため、適切なケアを行っていないと頻繁に作り替えなくてはいけないこともあるでしょう。ブリッジの寿命は入れ歯よりも少し長い7～8年ですが、支えにしている歯に負担をかけているため再治療が必要になるケースも少なくありません。インプラント治療では、正しいケアを続けていれば20年以上使えるケースがあります。歯科医院で定期的なメンテナンスを受け、自宅でのケアを丁寧に行っていれば、快適なインプラントを長く使うことができます。

まとめ

インプラント治療のデメリット・メリットについて解説しました。外科的な処置がともなう点や、細菌感染を引き起こすリスクがある点はデメリットに挙げられますが、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けて医師の指示をよく守りながら過ごすとメリットの大きい治療でもあります。自分に最適な治療であるかどうか、よく検討して決定するとよいでしょう。
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